研究概要 |
SCOT遺伝子の構造,配列を明らかにし,ヒトSCOT蛋白の3次構造モデルを作成し,3人のSCOT欠損症患者の遺伝子変異を同定,その特徴を明らかにした.ゲノム遺伝子の配列をあきらかにしたことで,SCOT欠損症患者遺伝子変異のゲノムDNAでのスクリーニングを可能とした.またSCOT遺伝子がなぜ正常肝細胞で発現しないのかをあきらかにするためSCOT上流域の解析を行った.約3kbの配列を決定し,基本的なプロモーターにはSp1が結合して活性化されることを明らかにし,肝臓特異的な抑制に関与すると思われる領域を検討した。またT2欠損症については,スペイン5症例の遺伝子変異について変異の特徴を3次構造モデルを用いて検討した.また一例にみられた380C>Tはエクソン5上にあり,この変異によってエクソン内のすでに存在するcryptic splice部位が活性化され,ほとんどがこの部位でスプライシングが生じることを明らかにした.またこれまでに遺伝子変異を決定した26例について主治医にアンケート調査を行い,臨床経過,予後,遺伝子型と臨床型の関連について調べた.この報告はT2欠損症ではじめて行われた臨床追跡調査であり,意義深い.T2欠損症は診断さえつけば,以後の重篤な発作は軽度の蛋白制限などにより防がれており,予後もこれまで報告されていた以上によいことがわかった.また臨床的重症度は遺伝子型と明らかな相関はなかった。これまでの成果が評価され,Methods in Enzymology,Metabolic & Molecular Bases of Inherited Disease(8th edition)の章を共同執筆した.
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