研究概要 |
1.色素細胞以外でのmelanocortin1受容体(melanocortin1receptor,MC1-R)の発現:ヒトケラチノサイト上のMC1Rの発現の分化と分化能の相関を証明した。 2.MC1-Rの高発現が黒色種細胞の転移能と相関:黒色腫細胞とマクロファージとのハイブリドーマ細胞を用いて、MC1-Rの高発現を伴なうと共に、高転移能を獲得することを明らかにした。 3.黒色腫細胞へのUVB照射により、メラニン生成に関わる糖蛋白tyrosinase related protein2(TRP2)の発現減弱が、細胞死を引き起こすことを明らかにした。 4.ヒト色素細胞に発現するMC-R subfamily:メラノーマ細胞においてMC-4Rを除く、他のMC1-R,2-R,3-R,5-Rの発現を確認した。正常メラノサイトでは、検討したメラノサイト4種類において、MC1-Rと3-Rは全て細胞において発現がみられたが、5-Rは2種類のみ、また、2-Rと4-Rは1種類の細胞においてのみその発現が認められた。即ち、メラノーマ細胞と異なり、メラノサイトでは細胞のdonorが異なると、subfamilyの発現が異なることが判明した。 5.Tyrosinase活性化におけるPKAとPKCの役割:MSH刺激時、PKCαおよびβのantisense,およびinhibitor添加にてtyrosinaseの活性が有意に増加した。dbcAMPにて細胞内のAMP濃度を高めると、tyrosinase活性は高まるが、この際、PKC阻害にて、tyrosinase活性は抑制された。MSH刺激時にはPKCはtyrosinase活性抑制として働き、コントロールあるいはdbcAMP刺激時には、逆にPKCはtyrosinase活性刺激に働くことが推察された。
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