研究概要 |
6症例の臨床的にHermansky-Pudlak症候群と診断された患者さんについて、HPS1遺伝子の検索を行った。症例1(大阪府立母子保健センター小児科症例)2歳女。全身性白皮症あり。出生時に肺出血がある。皮下出血をおこしやすい。チロシナーゼ、P遺伝子ともに異常なし。エクソン11のホットスポットに1Cの欠失があり、フレームシフト変異がヘテロで認められた。症例2(神戸大学皮膚科症例)18歳男。白皮症と出血傾向、腎障害あり。IVS5+5G>Aのスプライス変異と962-963insGのフレームシフト変異のcompaund herterozygotesであった。培養したメラノサイトは大きなメラノゾームを持っており、このHPS遺伝子異常によって、メラノゾーム形成異常が起こることが示唆された。他に、T99T(297C>T),L212L(636C>T),IVS14+7G>C,IVS14+8G>T,P491R(1472C>G)のnon-pathological polymorphismsがいずれもヘテロで認められた。症例3(福岡徳州会病院)49歳女。白皮症と肺線維症があり。変異解析で、IVS5+5G>Aのスプライス変異がホモ接合体であった。症例4(慶応大学皮膚科症例)。35歳男の白皮症を伴った、腎障害合併例。IVS1-9C>Tのホモ接合体であったが、これがスプライス変異を起こすかどうかについて、まず正常50例の日本人でこの変異解析を行い、1例にホモの異常を認めたため、non-pathological polymorphismと判明した。症例5(石切生喜病院呼吸器科症例)。白皮症と肺線維症あり。全エクソンの検索で異常を認めず。症例6(東京女子医大皮膚科症例)。肺線維症と白皮症あり。変異解析で、IVS5+5G>Aのスプライス変異がホモ接合体であった。これらのうち変異が確定しなかった症例1、4、5については最近新しくクローニングされた、HPS遺伝子の変異検索について、コロラド大学医学部スプリッツ教授と共同研究を行っているところである。
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