研究概要 |
1 天疱瘡症例85例についてHLA-DR/DQ genotypingとデスモグレイン(Dsg)に対する反応性を検索し,つぎの結果を得た.(Tissue Antigens 1999;54:333-340;皮膚1999;41:419-425) 1)尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris,PV)の疾患感受性と,HLA-DRB1^* 04およびDRB1^*14ハプロタイプとの間に強い相関がある.これは過去に得られている欧米人のデータと同様の結果であるが,日本人では白人と共通のDRB1^*1401,^*1405以外に,白人では検出されないDRB1のサブタイプDRB1^*0406,^*1406とも強い相関が見られる. 2)落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus,PF)疾患感受性も,PVと比較するとやや弱いがHLA-DRB1^*04,DRB1^*14ハプロタイプとの相関がある. 3)PVではHLA-DRB1^*04またはDRB1^*14DRB1-β chainのPhe^<26>,Leu^<67>,Val^<86>および70位と71位の親水性アミノ酸残基が,Dsg3に対する免疫応答を拘束している. 4)PV抗原であるデスモグレイン3(Dsg3)に対する免疫応答は,PF抗原であるデスモグレイン1(Dsg1)に対する免疫応答よりも強くHLA-DRB1分子に拘束される. 2 PV患者の抗Dsg1抗体は,臨床症状の悪化に伴い抗Dsg3抗体に遅れて出現する.(Br J Dermatol 1999;141:1084-1087) 3 類天疱瘡症例23例のHLA-DR/DQ genotypingでは,疾患感受性とDQB1^*0301との強い相関を示唆する過去の欧米からの報告とは異なり,日本人ではDRB1遺伝子と相関がみられる.われわれのデータおよびこれまでの白人におけるデータから,BPに対する疾患感受性の遺伝的背景として,HLA-DRB1β-chainの可変領域のアミノ酸の荷電(26,67位疎水性;70,71位親水性)の重要性が示唆される.(J Dermatol 2000;27:149-156)
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