研究課題/領域番号 |
11670873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中川 恵一 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80188896)
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研究分担者 |
寺原 敦朗 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80237007)
小野木 雄三 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90233593)
青木 幸昌 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40143474)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 超高圧X線CT / 肺腫瘍 / 定位放射線治療法 / 固定法 / 臓器運動 / 治療計画 |
研究概要 |
放射線治療用ネットワークシステムに、超高圧X線CT装置を接続することにより、超高圧X線CT画像と治療計画用CT画像をオンラインで扱うことが可能となった。超高速CTを用いて、肺腫瘍が、生理的呼吸状態でどのような位置的変動を示すかを解析した。この結果を超高圧X線CTで観察される肺腫瘍の大きさと比較し、超高圧X線CTで得られる、呼吸移動を含めた肺腫瘍標的容積描出の精度を検証した。また、熱可塑性プラスチックを用いた、肺腫瘍の定位放射線治療用の簡易固定装置を開発し、臨床例とボランティアにおける固定精度を検証した結果、ほとんどの場合、±5mm以下の誤差範囲にとどまることが分かった。 多発転移性肺腫瘍の患者において、十分なインフォームドコンセントを行ったあと、腫瘍径3cm以下のものに定位照射を行った。定位照射の直前に、診断用CTを用いてマークされた腫瘍の存在範囲を、簡易固定装置を装着したまま、超高圧X線CTを撮影し、位置決めの誤差を評価した。必要に応じた再位置決めのあと、照射野は、超高圧X線CT画像で得られた開度に、ヘリカルCT撮影で得られた呼吸性移動分と機械的誤差の±3mmを足したものとした。線量、分割法は、ガンマナイフの経験をもとに、単回照射、腫瘍辺縁線量20-25Gy、照射法はコプラナ原体照射であった。治療対象は、15症例、22腫瘍で、1例は原発性肺腫瘍であった。14例の転移性腫瘍の原発巣は、肝臓癌5例、肺癌3例、大腸癌2例、胸腺腫瘍2例、食道癌1例、悪性黒色腫1例であった。治療部位は、胸壁/胸膜が10部位、肺や22部位であった。照射長は20mm-90mmで、40mmが最頻であった。20Gyあるいは30Gyの分割照射が7症例、7部位で併用された。照射後、定期的にCT撮影を行い、腫瘍に対する縮小効果と正常肺の障害を観察した。 一次効果が判定できた21部位については、CR13部位、PR6部位、NC2部位で、ほぼ全例に効果を認めた。生存期間は最長82ヵ月で、中間値8ヵ月であった。障害については、肺野内腫瘍へ分割照射を併用した3例において放射線肺炎を一次的に見たのみであった。2例で剖検が得られ、組織学的効果と定位照射の照準精度について評価を行った結果、腫瘍部位にのみ放射線の殺細胞効果がみられ、周囲の正常肺の病理学的変化がほとんどみられないことが確認された。これは、定位照射の全体的精度がin vivoで照合されたことを意味する。転移性胸部腫瘍に対する定位放射線治療は、良好な一次効果と、許容できる障害頻度を示し、治療期間の短縮を可能とする優れた治療法である。
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