研究概要 |
(目的)magnetization transfer effectを用いたMRI画像の前立腺癌の局在診断および治療効果判定に関する有効性を検討した。(対象および方法)36例(未治療群21,ホルモン治療群15)の前立腺癌患者を対象とし、3-D SPGRシーケンスを用いてMT pulse offと300Hz(MT300),1200Hz(MT1200),2000Hz(MT2000)の3カ所にMT pulseを照射した画像データをそれぞれ収集し、ワークステーション上でMagnetization Transfer Ratio Image(MTR画像)を作成した。得られたが画像を未治療群とホルモン治療群とに分けて癌組織、正常外腺、前立腺肥大結節のMTRをROI法により計測し比較した。各症例のPSA値と癌組織のMTRとの関連性を検討した。前立腺全摘出術を施行された6例(未治療群3,ホルモン治療群3)の癌組織の分布についてMTR画像と摘出病理組織標本との比較を行った。 (結果)正常外腺はMT1200、MT2000においていずれも低値を示し、癌組織(p=0.002,p=0.001)および肥大結節(p=0.02,p=0.007)との間に有意な差を認めた。未治療群、ホルモン治療群いずれも癌組織と肥大結節との間に有意な差はなかった。癌組織のMTRとPSAとの間には有意な相関はみられなかった。前立腺全摘出術が施行された未治療群3例ではMTR画像は癌病巣の分布をよく反映していたがホルモン治療群においてはMTR画像の有効性は得られなかった。(結語)MTR画像は外腺に発生した癌病巣の診断に有効であり、針生検術直後の評価が可能であるが、内腺発生の癌病巣の診断、ホルモン治療後の評価には有効性はみられなかった。
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