配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
平成11年から平成13年において超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法を施行した症例は42例で,その内訳は粘膜下腫瘍25例,消化管外腫瘤17例であった.粘膜下腫瘍に関しては,細胞診(FNAC)可能な年度別検体採取率は,57.1%(8/14例),83.3%(5/6例),100%(5/5例)で,組織診(FNAB)可能な年度別検体採取率は,0%(0/14例),50.0%(3/6例),100%(5/5例)と推移した.このように穿刺針及び穿刺装置の改良,穿刺技術の向上等により,手技的にはほぼ確実に病理組織検体が採取できるまでになってきた.尚,消化管外腫瘤に関しては,細胞診・組織診とも当初より比較的良好な結果が得られていた. 組織検体が採取された粘膜下腫瘍8例中GISTが疑われた7例すべてにおいて,免疫染色が可能であった.残りの1例は異所性膵との診断が得られた,その結果はsmooth muscle type:4例,neural type:2例,combined type:0例,uncommitted type:1例であった.摘出された術後標本による最終診断による亜分類と比較すると,6/7例(85.7%)が術前診断と一致した.1例のみが,わずかな染色の違いによりuncommitted typeが術後smooth muscle typeと診断された.以上より現在の方法で,粘膜下腫瘍の亜分類に関する術前診断はほぽ可能であることが示唆された. 粘膜下腫瘍25例の臨床経過および手術結果による良・悪性の内訳は,悪性(低悪性度も含め)4例,良性21例であった.組織診検体の核分裂像のみによる良・悪性鑑別の正診率は60%,組織診検体,細胞診検体による細胞異型も含めた場合の良・悪性鑑別の正診率は80%と比較的高率であった.しかし今回の対象には良性腫瘍が圧倒的に多く,感度は50%と低いことより,核分裂像や細胞異型のみでは良・悪性の術前診断には限界があると考えられた. しかし本年度,本法によって確実に得られるようになった組織検体にて,粘膜下腫瘍の増殖能を示すと考えられているki67のラベリングが可能なことが証明された.したがって,これにより術前に得られる組織検体のki67のlabeling indexによる粘膜下腫瘍の良・悪性の術前診断の確立の可能性が示唆された.
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