研究概要 |
デジタルX線画像である富士コンピュ-テッド・ラジオグラフィ(以下FCR)の新しい両面集光技術を用いた読取装置の診断性能に関する臨床評価の研究として、胸部X線写真を対象に従来のスクリーン・フィルムシステム(以下S/F)との視覚的比較評価を行なった。対象は、原発性肺癌28例。評価画像のX線発生装置UD150B-30(島津製)、撮影条件は(1)FCR : FCR55O1D、撮影条件:管電圧110KV、グリッド12:1・40本/mm、曝射時間18m sec固定、画像読み取り濃度レベル10bit/pixel、画素サイズ0.1mm画像処理条件:階調処理GTE, GA1.0, GC1.6, GS-0.2、周波数処理RN4, RTR, RE0.1、(2)S/F:富士UR-1(HGM2)撮影条件はFCRと同じで曝射時間はフォトタイマ-使用。FCR画像をS/Fと一対比較を行ない、5段階の視覚判定スコアにより評価した。FCRがS/F画像よりすぐれていたスコア+1と+2の合計は20ミリを越える大結節影の31%、結節随伴影の40%、20ミリ以下の小結節影の67%、肺門および縦隔リンパ節影の43%であった。S/F画像に比べてFCRでは腫瘤の辺縁が明瞭であり,周囲線状随伴病変の描出も優れていた。腫瘤内部の空洞部分とその周囲軟部濃度との移行境界が鮮明に認識できた。扁平上皮癌の結節影の74%はS/F画像と差がなかった。S/F画像との比較でFCRは、大結節影では空洞、内部構造の濃度差をよく描出して有用であったが、扁平上皮癌に多い均一で充実性の腫瘤では両者の識別能の差は乏しかった。随伴影は粒状影、線状構造の鮮明さが、また小結節影、リンパ節影の様にサイズの小さなものでは辺縁の鮮明さがFCRでみられ、その評価が高かった要因と考えられた。
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