研究概要 |
1.dual karyotyping法 バンドエンハンスメント画像処理で,DAPI対比染色像を明瞭なバンドパターンに変換することに成功した.しかも,この変換像は染色体固有のGバンドパターンとほぼ合致していた.さらに,このGバンド変換像とSKY解析像をそれぞれの染色体ごとに並列した"dual karyotype"を作成することにより,由来不明の転座染色体の起源の同定のみならず,直接バンドと対応づけて転座切断点の決定もできた.以上より,転座型染色体異常においては,自動的な核型解析も可能であることが示された. 2.color-banding法 特定の染色体について,全バンドをカバーするバンド特異的なゲノムDNAをそれぞれ異なる蛍光色素の組み合わせで標識し混合して,中期染色体を対象にしてSKY法で解析した.その結果,Gバンドパターンに対応して,しかもそれぞれが異なった固有の色調で検出・識別できた.さらに,蛍光色素の組み合わせに特有のスペクトルパターンに基づいて,どのバンド由来かを自動的に判定させることにも成功した. われわれは,SKY法の応用技術としてdual karyotyping法およびcolor-banding法の開発に成功した.そして,腫瘍のさまざまな染色体異常の解析に適用し,実際の染色体診断にも有用であることを明らかにした.特に,color-banding法は,バンド単位で染色体由来を自動的に同定できるため,これまでの肉眼によるバンドパターン認識に基づく核型解析が,精確で簡便・迅速に行える.この方法は,将来的にはGバンドに取って代わり,さらに核型解析の完全自動化へと発展していく可能性を秘めていると言える.
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