研究概要 |
1.HIGAマウスにおける急性活動型炎症病変の発現誘発時のNOの関わりとL-NAMEによる抑制効果 方法:高IgA血症とTGFβ発現の確立した30週令のHIGAマウスPBS,100,300ng/mouseのrIL-12を腹腔内に、IL-12投与群にはそれぞれ10mM/日のL-NAMEを飲料水に混ぜ、7日間連続で投与した。尿中,血清のNOはグリース法で調べ、組織学的変化とともに、腎のiNOSの発現をRT-PCR法で、検討した。 結果:1)尿中及び血清NO:IL12投与群で有意な尿中NOの増加を認め、L-NAME併用群で抑制された。一方血清NOは有意な変化はなかった。 2)腎iNOS発現:IL-12,300ng、及びこれにL-NAMEを併用した群でともに有意な発現増強を認めたが、この群間には有意差はなかった。 3)組織学的変化:急性炎症反応(半月体形成、糸球体内細胞増殖、間質細胞浸潤)はIL-12投与群で有意に発現が増強していたが,これらもL-NAME群で有意に抑制された。 4)血清及び糸球体沈着IgAの変化:IL-12のみ投与群でともに低下傾向または有意にに低下していたが、L-NAME併用群では低下は認めなかった。 以上の結果、IL-12によるTh1誘導を介した急性炎症病変発現はNOを介していることが確認されたがL-NAMEはNO産制のantagonistとして局所でのNOの発生を抑制してこれらの病変発現を抑制することが考えられた。IgA産制系へのIL12への関与にNOが介する事も同時に示唆されたが、L-NAMEによるIgA沈着の回復は局所の炎症病変との関わりなのか、全身IgA量の変化によるかは不明である。 以上の結果は平成13年の第44回日本腎臓学会総会において発表予定である。
|