研究課題
基盤研究(C)
SDMFは既に知られている他の遊走因子とは全くことなる構造を有し、作用の最も強力な新しい遊走因子であり、動脈硬化巣に選択的に発現し、また、平滑筋細胞が遊走する方向への局所でのコラーゲンの産生を調節する因子であり、その遺伝子は7q22にマッピングされている。【目的】本研究において、バルーンカテーテルによる損傷により誘発されたラット動脈内膜肥厚部でのSDMFの増加について検討し、さらにラット大動脈由来培養平滑筋細胞をもちいてSDMFの発現に及ぼす因子を検討した。発現の程度はNorthern Blotにて評価した。また細胞増殖の指標としてcyclin Eを、細胞増殖停止の指標としてp21^<Cip1>の発現も同時に検討した。【結果】動脈損傷部でのSDMFの発現増加は損傷後14日後に認められた。これ以後、細胞の増殖が停止すると考えられている42日後まで続いた。培養細胞を用いた検討により、SDMFのmRNAレベルは培地より血清を取り除くとその発現が増加し、p21^<Cip1>のmRNAレベルと並行していた。その増加度は12時間後に2.5倍、48時間後に5倍であった。一方、血清を再び培地に添加すると24時間でその減少がみられた。その減少はp21^<Cip1>mRNA量の減少と並行したが、cyclin Eの発現は増加していた。【結論】SDMFは細胞増殖が停止するとその発現量が増加し、逆に細胞増殖が高まるとその発現が低下する因子であることが示唆された。
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