研究課題/領域番号 |
11671126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井口 登與志 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (00294926)
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研究分担者 |
梅田 文夫 九州大学, 医学部, 助教授 (80150431)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 糖尿病 / 合併症 / ギャップ接合 / コネクシン / プロテインキナーゼC / 伝導傷害 / 血管合併症 / インスリン抵抗性 / 脂肪酸 / 興奮伝導 / 内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 心筋 |
研究概要 |
糖尿病患者の増加とともに、最も重要な合併症である血管障害の成因の解明および管理・治療の確立が急務となっている。ギャップ接合は細胞内より直接隣接細胞に、イオン、情報伝達物質などの低分子物質を輸送する膜チャンネルであり、このような細胞間コミュニケーション機能を介して細胞増殖、分化、電気的カップリングに関与し組織の恒常性の維持に重要な役割を果たしていることが近年明らかにされてきている。本研究により、培養血管壁細胞のギャップ接合機能が高グルコース培養により抑制されること、またこのギャップ接合機能の抑制がPKC活性の活性化によって惹起されていることが示された。また、血管平滑筋細胞におけるギャップ接合の主要構成蛋白であるコネクシン-43は、リン酸化状態(PO)と非リン酸化状態(P1、P2、P3)で存在することを確認した。高グルコース培養により、PKC活性化剤TPA添加と同様に、リン酸化バンドの増加と非リン酸化バンドの減少を認め、高グルコースによりPKC活性化を介してコネクシン-43のリン酸化がもたらされることが示された。ギャップ接合は、細胞間コミュニケーション機能により、細胞増殖の制御や血管収縮の調節に関与していることが推定されており、高グルコースにより惹起されたギャップ接合機能の異常は糖尿病血管壁の恒常性に異常をきたし、血管障害の発症、進展に関与していると考えられた。本研究では、糖尿病ラットを作成しその生理的意義が最も明らかになっている心筋におけるギャップ接合の動態とその機能異常についてさらに検討を加えた。糖尿病ラットの心筋では、高グルコース培養における血管壁細胞と同様なコネクシン-43燐酸化バンドの増強を認めた。また、糖尿病ラットにおける心電図QRS幅の延長を認め、心筋組織のギャップ接合機能低下による電気伝導障害が推定された。我々は、糖尿病ラットにおける心筋PKC活性進、特にPKCβアイソフォームの特異的活性亢進を報告している。そこで、近年糖尿病性血管障害の治療薬の可能性が注目されているPKCβ特異的阻害薬LY333531の効果を検討した。LY333531は糖尿病ラットにみられたQRS幅の延長を正常レベルまで改善する所見を認めた。以上より、コネクシン-43の燐酸化亢進およびそれによって惹起される伝導障害はPKCβの活性亢進によることが示唆された。近年GJ機能低下による伝導障害と不整脈や心筋収縮力の関連が注目されており、糖尿病心筋におけるGJ機能低下は糖尿病患者にみられる高頻度の不整脈の発症や心筋収縮力の低下の成因となっている可能性が示唆された。
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