研究概要 |
1.PPARγのリガンドとしてのトログリタゾンが活性酸素の消去作用を有し、血中過酸化脂質濃度を低下させ、ひいては抗動脈硬化作用を持つことを明かとした(Inoue I,et al:Biochem Biophys Res Commum 235:113-116,1997)。 2.PPARαの活性化剤であるベザフィブレートもまた強力な活性酸素の消去作用を有するSODやカタラーゼの産生を促し、PPARαがこれらのmRNAレベルを調節することを発見した(Inoue I,et al:Life Science 63:135-144,1998)。 3.さまざまな脂肪酸をラットに投与することで肝臓でのPPARαの遺伝子レベルを変動させることで、血中の過酸化脂質濃度も変動することを見い出し、PPARαの遺伝子が糖・脂質代謝のみならず動脈硬化にも大きく関与することを証明した(Inoue I,et al:Biochem Biophys Res Commum 237:606-610,1997)。 4.糖・脂質代謝のみならず動脈硬化にも大きく関与するPPARαおよびPPARγが、活性酸素産生系に大きく関与するヒト血管内皮細胞においても発現していることを見いだした(Inoue I,et al:Biochem Biophys Res Commum 246:370-374,1998)。 5.ヒト血管内皮細胞におけるPPARαのメッセンジャーRNAの全塩基配列を決定し、一部遺伝子バンクに登録し(accession number Y16186)、その遺伝子を含むベクターを調整した。 6.ヒト血管内皮細胞に発現しているPPARαおよびPPARγをそれぞれのアゴニストにより活性を高めることで活性酸素の消去作用だけでなく産生系であるNADPH oxidaseの活性をも抑制することを見いだした(Inoue I,et al:Metabolism 50:3-11,2001)。 7.HMG-CoA還元酵素阻害剤は、PPARαを介して活性酸素の産生系であるNADPH oxidaseの活性をも抑制することを見いだした(Inoue I,et al:Life Science 67:863-76,2000)。
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