研究概要 |
我々はラットのアロ肝移植モデルを使いBromo-deoxyuridine(BrdU)と5FUの併用による免疫抑制療法を検証した。本法の特長はドナー特異的免疫抑制が期待できることである。生存日数、術後肝機能、病理学的所見を検討した。 鎌田のカフ法でACIラットをドナーにLEWラットをレシピエントに同所性肝移植を行った。薬剤の組み合わせ、投与ルートを変えて、次の5群を作った。無治療群、BrdU+5FU/iv群、BrdU+5FU/ip群,BrdU/ip群,5FU/ip群である。各群について検討を行った。 生存日数は無治療群11日、BrdU+5FU/iv群17.3日、BrdU+5FU/ip群45.0日,BrdU/ip群17.3日,5FU/ip群11.7日であり、BrdU+5FU/ip群で有意に生存日数が延長した。無治療群では肝細胞の広範な壊死、高度の炎症細胞の浸潤など激しい拒絶反応を認めた。BrdU+5FU/ip群ではほとんど拒絶反応は認められなかった。BrdU+5FU/iv群とBrdU+5FU/ip群では薬剤の投与方法が異なるのみで生存率が非常に異なったことは大変興味深かった。 現在本治療ラットの免疫状態を確認するため、また、特異的免疫抑制状態の確認のため、mixed lymphocyte reactionを行っている最中である。
|