研究概要 |
本研究では,carcinoembryonic antigen(CEA)promoterの活性を増強し,cytosine deaminase(CD)/5-fluorocytosine(5-FC)の自殺遺伝子治療をより効果的にするために,Cre/loxP発現系を用いた.まず,AxCEANCre: CEA promoter制御下にCre recombinaseを発現AxCALNLCD: Cre recombinase存在下でのみ強力なCAG promoter制御下にCD遺伝子を発現.AxCALNLCD: Cre promoter制御下にCD遺伝子を発現のadenovirus vectorを作製した.そして治療効果を評価するため,ヌードマウスの胃体部大弯側胃壁にCEA産生株MKN45の腫瘍塊(2mm角)を移植した胃癌同所移植モデルを作成し,adenovirus vectorを1.0x1.0^9 pfu/day,3日間連続で腹腔内に投与し,さらにその翌日より,5-FCを500mg/kg/bodyで10日間連続,腹腔内に投与した.胃癌移植より4週間後に屠殺し,胃腫瘍を摘出した後,腫瘍体積を測定した.AxCEANCre+AxCALNLCD群の腫瘍体積はAxCEACD群,Meck群と比較して,著明な腫瘍増殖の抑制効果を認めた(p<0.0001).生存期間を比較した結果,AxCEANCre+AxCALNLCD群の生存期間は他群と比較し,有意な生存期間の延長を認めた(p<0.01).これらの結果より,Cre/loxP発現系により増強されたCEA産生腫瘍特異的自殺遺伝子治療は進行胃癌患者にとって有効な治療法となる可能性が示唆された
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