研究概要 |
1)全国ネットワークで集積し、239症例を集積した。 2)52家系においてその遺伝子異常を検出した。あらに、遺伝子異常が検出できない1家系においては、さらに新しい遺伝子異常があることを確信し、検索している。 3)これらのデーターをもとに臨床症状、発現した病変の種類・手術方法・時期・病理組織所見・免疫化学的所見・予後)などと対比させ、コドン634は副甲状腺病変、褐色細胞腫を合併しやすく、コドン768はFMTCであることが分かった。 4)遺伝性甲状腺髄様癌において、予後因子を検討した遺伝性甲状腺髄様癌症例を甲状腺外科研究会及び家族性腫瘍研究会を通して。RET癌遺伝子では予後良好な変異部位はコドン768,790,791,804,891であり、予後不良部位はコドン609,611,618,620,634であった。また、血中カルシトニン、CEA、CT/CGRP比、年齢(50歳以上)、切除の可否、カルシトニン染色性、CGRP染色性、アミロイド染色性、壊死、腫瘍径、リンパ節転移、遠隔転移、ステージ、術後カルシトニン値、などが予後に深く関与した。 5)ET遺伝子により診断された発症前の甲状腺髄様癌症例に対し、予防的甲状腺全摘術を施行した。14症例(男性6、女性8)に行い、MEN2A8,FMTC6例であり、コドン634 6例、コドン620 2例、コドン768 6例であった。年齢は4歳から22歳の及ぶ。予後不良なコドン634は4歳から12歳と比較的若く、予後良好なコドン768は9歳から22歳と比較的年齢が高かった。頸部リンパ節郭清は施行した症例と施行しない症例がある。術後のさせい、上皮小体機能低下症などの手術合併症はなく、術後のカルシトニン値は基礎値、負荷後のともに正常域であった。
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