研究概要 |
〔目的〕LH-RH analogue(実験的卵巣摘除)と外科的卵巣摘除が骨に及ぼす影響の比較と,Tamoxifen併用による骨量低下阻止効果の検討. 〔対象および方法〕12週齢(体重260g前後)のウイスター系雌ラットを使用.以下の実験群を作成し,実験開始前,1カ月後,2カ月後,3カ月後および4カ月後に犠牲死させ,骨代謝マーカー,骨組織像を検討.(1)Sham群(S群),(2)両側卵巣摘除群(C群n=10),(3)LH-RH analogue(3.6mg)投与群(D-1群n=10),(4)LH-RH analogue(3.6mg)+Tamoxifen(0.01mg/kg)投与群(D-2群n=10),(5)LH-RHanalogue(3.6mg)+Tamoxifen(0.1mg/kg)投与群(D-3群n=10).なお,LH-RHagonistは0週と1カ月後に皮下注射し,Tamoxifenは経口投与とした. 〔結果〕(i)生存率:100%.(ii)体重変化:S群に対してC群,D1,2,3群は有意に増加した.C群とD1,2,3群には有意差を認めなかった.(iii)血液検査:Ca,Piはいずれの群で有意差を認めなかった.Alp,BGP,ビリジノリンは,S群に対してC群とD1,2,3群で有意に増加した.(iv)大腿骨の単位乾燥重爪:S群と比較してC群とD1,2,3群は1,2,3カ月で有意に減少したが,4カ月後には有意差を認めなかった.(v)大腿骨の非脱灰骨標本(Villanueva-Goldner染色による骨動態と画像解析装置を用いた単位骨量):S群と比較してC群とD1,2,3群は1,2カ月では有意に減少したが,3カ月後には有意差を認めなかった. 〔結論]1LH-RHanalogueは卵巣適除同様の骨変化(骨粗鬆症)を来たしたが,中止後1ヵ月以降は骨量の増加を認めた.2LH-RHanalogueによる骨量低下をTamoxifenは予防しなかった.
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