研究概要 |
(1)薬物解毒に関与するグルタチオン還元酵素の遺伝的個体差による酵素活性の欠損が肝予備能や術後肝障害におよぼす影響や術後肝障害発生要因を明らかにすることで安全に手術を行うこと目的とし、これまで胃癌手術症例を対象に検討した結果、次に報告した(胃癌手術後の肝障害発生要因の解析 日本外科系連合学会雑誌、24:580-585、1999、広範囲 血液・尿化学検査,免疫学的検査(1)-その数値をどう読むか-グルタチオンS-トランスフェラーゼ 日本臨牀、57:451-453、1999)。さらに術後肝障害との関連をプロスペクティブスタディとして解析し次に報告をした(術後肝障害発生要因の解析とプロスペクティブスタディによる肝障害発症の予防、日本外科系連合学会雑誌、25:166-172、2000、胃癌術後肝障害発生の術式による差とグルタチオン解毒酵素(GSTM1)欠損の遺伝子診断の有用性、日本外科学会シンポジウム、2000、4月)。現在、術後肝障害の予防として、術後膵炎、急性循環障害治療薬として用いられているウリナスタチンが有効かどうか臨床研究を進めている。 (2)グルタチオン解毒酵素をはじめチトクロームp450は、抗癌剤の活性化、不活化にも関与しており、これら酵素活性の遺伝的個体差が抗癌剤感受性の個人差にも関与している。今回、チトクロームp4502E1酵素の遺伝的個体差と治療効果との関連を以下の学会に報告するとともに(フッ化ピリミジン-CDDPの胃癌および食道癌術前化学療法における効果とCYP2E1遺伝子多様性との関連、第37回日本癌治療学会総会、1999、10月)、5FU系抗癌剤の代謝に関係するDPD、TS酵素との関係についても研究を進めており次に報告した(高度進行胃癌症例に対するTS1投与効果とTS、DPDmRNAレベルの経時的変化、第37回日本癌治療学会2000、11月、第92回米国癌学会、2001、3月)。
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