研究課題/領域番号 |
11671209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
志村 龍男 群馬大学, 医学部, 助手 (00282393)
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研究分担者 |
浅尾 高行 群馬大学, 医学部, 助教授 (40212469)
桑野 博行 群馬大学, 医学部, 教授 (90186560)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 膵癌 / HLA / 可溶性HLAクラスI抗原 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
【研究の背景】HLAクラスI抗原は、すべての有核細胞膜上に発現する糖タンパクである。本来は、自己、非自己の識別に関与する組織適合抗原である。近年、体液中に可溶性抗原として存在することが明らかとなり脚光を浴びるようになってきた。これまではわれわれは、胃癌患者における血液中可溶性HLAクラスI抗原量を測定し、進行胃癌では早期癌患者に比して有意に血液中HLAクラスI抗原量が低下していることを報告してきた(Hum Immunol 1994 ; 40 : 183-6)。【対象および方法】本研究では、肝胆膵疾患患者の治療前血清中の可溶性HLA class I抗原量をELISA法により測定した。対象は、膵癌19例、良性胆嚢疾患17例、肝細胞癌51例、胆嚢癌6例、胆管細胞癌6例、健常者22名である。【結果】これまでの検討より肝炎ウイルス陽性者では、可溶性HLA class I抗原量が増加しているので肝細胞癌以外でのウイルス陽性者3例(良性胆嚢疾患2例、胆嚢癌1例)を除外して検討すると、正常者1470±95.3ng/ml、膵癌3257±448.8ng/ml、良性胆嚢疾患1732±403.2ng/ml、肝細胞癌1682±400.4ng/ml、胆嚢癌1046±648.9ng/ml、胆管細胞癌1515±659.3ng/mlと有意(P<0.001)に膵癌患者で高値を示した。膵癌患者における血中可溶性HLA class I抗原量とこれまでの腫瘍マーカーであるCA19-9との相関は認められなかった(r=-0.288)。正常者が2000ng/ml異常とならないことからこれをカットオフ値としCA19-9との関連を検討すると、膵癌患者14例のうち10例が可溶性HLA class I抗原量がカットオフ値を超えるのに対してCA19-9が異常値を示したのは5例のみであった。Sensitivityおよびspecificityをそれぞれ計算すると、88.2%、85.5%となった。膵癌患者における可溶性HLA class I抗原量の増加のメカニズムを検討すべく膵癌細胞株を培養し、その培養上清中の可溶性HLA class I抗原量を測定したが、測定限界以下であった。matrix metalloprotainase処理では膵癌細胞株からの可溶性HLA class I抗原分泌量は変化は認められなかったが、これまでの検討では、cortisolにより可溶性HLA class I抗原分泌量の増加が認められており、担癌状態と宿主内分泌環境との関連を検討する必要があると考えられた。本研究結果から新たな膵癌での腫瘍マーカーの候補として可溶性HLA class I抗原が有用であると考えられた。
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