研究課題/領域番号 |
11671271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
島津 元秀 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (70124948)
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研究分担者 |
田辺 稔 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (50197513)
若林 剛 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (50175064)
亀井 秀策 慶應義塾大学, 医学部, 外科助手 (10286495)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ischemic preconditioning / 虚血再灌流障害 / 微小循環障害 / TNFα / TNFα産生 / 肝虚血再灌流障害 |
研究概要 |
【目的】肝移植および肝切除において虚血再灌流障害は回避できない問題であり、肝虚血再灌流障害に対するischemic preconditioning(IPC)効果が確立されれば臨床上有意義と思われる。一方われわれは肝虚血再灌流障害においてTNFなどの炎症性サイトカインの産生、それに引き続く白血球の接着、遊走などの微小循環障害が重要な役割を果たしていることを報告してきた。今回ラット肝を用いてIPCの肝虚血再灌流障害に対する効果を検討した。 【方法】Wistar系雄性ラット(200〜250g)を使用。麻酔は、エーテルにて前麻酔のうえペントバルビタール50mg/kg腹腔内注射、硫酸アトロピン2mg/kg筋肉注射した。上腹部を約2cm横切開し出来るだけ肝門部よりで肝十二指腸靭帯をナイロン糸にてテーピングし、血流遮断はマイクロクリップにて肝門部一括遮断とした。開腹10分後に30分間全肝虚血するControl群(C群)と、開腹直後より5分間全肝虚血し一旦再灌流して5分後再び30分間虚血するPreconditioning群(P群)の2群を作成し、虚血直前、再灌流直前、再灌流60分後の血漿中GOT、GPT、LDH、TNFα、組織中TNFαを測定,さらに再灌流60分後の組織中TNFαのmRNAをRT-PCR法にて半定量した。また、虚血前に白血球蛍光標識色素CFDASE(carboxyfluorescein diacetate succinimidyl ester)を陰茎静脈より1.56μmol/body投与し、再灌流60分、180分後の微小循環動態を生体顕微鏡を用いて観察、接着白血球(30秒以上同位置に留まっているCFDASE陽性細胞数/mm^3)を定量比較した。 【結果】虚血直前、再灌流直前ではいずれの測定項目も有意差を認めなかったが、再灌流60分後ではP群で血漿中GOT、GPT、LDHはC群に比べ各々36、46、44%軽減され,このとき血漿中TNFα、組織中TNFαの産生は各々25、12%抑制されていた。さらに組織中TNFαのmRNAの発現もP群で減弱してぃた.接着白血球数はC群で再灌流180分後に著明な増加を認めたが、P群で優位に減少していた。 【考察、結語】IPCは肝細胞障害、微小循環障害などの肝虚血再灌流障害の抑制に有効であり、その作用機序のひとつとしてTNFα産生抑制が示唆された。
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