研究課題/領域番号 |
11671321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90311753)
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研究分担者 |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 慢性拒絶反応 / ラット異所性心移植 / 戻し心移植法 / Differential display / B細胞 / イムノグロブリンkappa鎖 |
研究概要 |
本研究は移植心冠状動脈硬化症の未知の病態を明らかにすることを目的に行われた。65種のラット免疫分子の遺伝子発現を定量的に測定する方法を新たに確立し、PCR-DD法による差異遺伝子同定の手法と合わせてラット心再移植モデルに応用し、心慢性拒絶反応の分子病態を実験的に研究した。 1:アロ反応性T細胞の移植心への一過性の浸潤は、急性拒絶反応を引き起こすには不十分であるが、遠隔期に慢性拒絶反応(移植心冠状動脈硬化症)を起こすには十分であった。 2:再移植心における遺伝子発現動態を経時的に検討した結果、活性化T細胞分泌分子(IFN-γ,Fas ligandなど)、血管平滑筋増殖因子(TGF-β,PDGF-βなど)、一部のケモカイン/受容体システム(IP10-CXCR3,RANTES-CCR5,MCP1-CCR2)の病態への関与が示唆された。 3:Diiferential displayにより、移植心冠状動脈硬化症の進展期には移植心へのB細胞浸潤が有ることが示された。この知見は従来報告されていない新しい知見であった。またB細胞活性化分子とB細胞遊走因子遺伝子の発現検討から、浸潤するB細胞は単に受動的に集積するのではなく、能動的に遊走し、活性化状態にある事が示唆された。したがってB細胞の抗原提示機能が移植心冠状動脈硬化症の進展に関与する可能性が考えられた。 以上、分子生物学的手法を新しい心慢性拒絶反応の動物モデルに応用することで、これまで知られていなかった本症の分子病態の一部を明らかにすることが出来た。しかし、今回用いた従来のPCR-DD法は検出感度と再現性の面で必ずしも満足すべきものでないことが同時に明らかになった。今後、より感度と再現性に優れたRFDD法を本実験モデルに応用すれば、さらに意義の深い研究成果が得られるものと期待される。
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