研究概要 |
同所性肺移植モデルとして、ドナーとしてBNラットをレシピエントとしてLEWラットを用い,移植後2および3日目にサイクロスポリン(25mg/day,i.m.)を投与すると移植片は長期に生着する。このとき、レシピエント(LEW)のアロ抗原に対する反応性はドナー特異的に保たれており、移植肺の中枢の気管支において、lymphocytic bronchitisや粘膜下の線維化などの変化が認められ、これらの変化を慢性拒絶反応と捉え、研究対象にしてきた。臨床の肺移植における慢性拒絶反応の典型的病変は閉塞性細気管支炎(OB)であるとされていたが,近年,我々のラットモデルにおいて認められるlymhocytic bronchitis等の気管支レベルでの病変が,臨床例での慢性拒絶反応の病変として報告されている。 その一方で,今回の研究テーマの有用性を示すには,より強い慢性拒絶反応を示すモデルが必要であることが判明した。そこで,再現性のあるより臨床例に類似した,すなわちOB病変を示すような慢性拒絶反応のモデルの作成を試みているが,未だ一定の知見は得られていない。前回報告したparadoxical phenomenonも考慮し,BN toLEWに加えてLEW to BNの系においても検討したが,閉塞性細気管支炎の所見は得られていない。アプローチとしては,サイクロスポリンの投与量,投与方法の変更を検討している。またLEW to BNよりアロ抗原反応性の強い系のラットコンビネーションの使用も考慮している。 本研究と関連して行われた保存実験で,生食24時間肺保存で高度に障害された気管支上皮は,isograftであれば,術後14日にはほぼ正常に回復することが判明した。
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