研究課題/領域番号 |
11671375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
山本 勇夫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30158266)
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研究分担者 |
周藤 高 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 助手 (10235707)
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40244496)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 頚動脈狭窄症 / 粥状硬化巣内出血 / 頸動脈内膜剥離術 / マクロファージ / 泡状細胞 / VEGF / 内頚動脈狭窄症 / 頚動脈内膜剥離術 / Vascular Endothelial Growth Factor / 泡沫細胞 / 血管平滑筋 / 動脈硬化症 |
研究概要 |
頚動脈狭窄症における粥状硬化巣内出血のメカニズムはなお明らかにされていないが、粥状硬化巣内出血がみられるのは、あくまで粥状硬化の進行した頚動脈に限られ、正常の頸動脈ではみられないため、粥状硬化巣内に存在する何らかの物質が関与していると考えられる。粥状硬化巣には細かい新生血管がみられ、それが破綻して粥状硬化巣内出血をきたす可能性が示唆されている。血管新生を誘導する因子としては、Vascular Endothelial Growth Factor(VEGF)、bFGF、HGF、PD-ECGFなどが知られているが、このうちでもVEGFは、強力な血管新生能および血管透過性亢進能を有し、冠動脈硬化症においては異常な発現が報告されているが、粥状硬化をきたした頚動脈プラークにおけるVEGFの発現に関する報告はなく、また、VEGFが頚動脈狭窄の進行および頚動脈プラーク内での出血にどのような役割を果たしているのかは明らかにされていない。このため、本研究においては、脳梗塞を起こした頸動脈狭窄症例に対する頸動脈内膜剥離術の際に得られた頸動脈プラークにおいて、VEGFに対するモノクローナル抗体を用いた免疫染色およびWestern blot法によりVEGFの蛋白発現を検討し、さらにin situ hybridizationを用いてVEGFのmRNAの発現を検討し、これらを剖検の際に得られた正常の頸動脈壁と比較検討した。この結果、蛋白レベルでは、VEGFの発現は深層の頸動脈プラーク内の特に粥状硬化巣内出血周囲の泡状細胞に明瞭に認められたが、プラーク浅層では認められなかった。正常の頸動脈壁では、Vasa Vasorum壁と中高年者の血管平滑筋にVEGFの発現が認められた。また、VEGF発現細胞を蛍光二重染色により同定すると、その大部分はマクロファージ由来であり、一部は血管平滑筋由来であることが分かった。Western blottingでは、粥状硬化をおこした頸動脈プラークにVEGF_<165>のバンドを認め、in situ hybridization法による検討でも、頸動脈プラークにおいて明瞭な発現を認めた。更に、頸動脈プラークにおける粥状硬化巣内出血の有無と単位面積あたりのVEGF細胞数との関係を検討すると、粥状硬化巣内出血のみられたプラークの方が有意(p<0.001)に、多くの単位面積あたりのVEGF発現細胞を認めた。これらの結果から、粥状硬化巣内出血にマクロファージ由来の泡状細胞から分泌されたVEGFが関与している可能性が示唆され、この知見は頸動脈狭窄症の治療に寄与するものと考えられた。この成果をまとめた論文については、現在、外国の医学誌に投稿中である。
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