研究課題/領域番号 |
11671395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高橋 浩一 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (90246413)
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研究分担者 |
中崎 浩道 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (40266656)
田中 英明 東京慈恵会医科大学, 脳神経外科, 助手 (70227164)
中原 成浩 明徳会佐藤第一病院, 脳神経外科, 副院長
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | Chiari II malformation / Splotch Delayed Mouse / GFAP / Vimentin / NFP / Splotch delayed mouse / Immunohistochemical analysis / apoptosis |
研究概要 |
キアリII型奇形は脊髄被裂や小脳下垂などを合併し臨床的に多様な問題点を抱えている。これまで先天性二分脊椎マウス(Splotch delayed mouse,Spd/Spd)を使用した実験的研究を行い、神経管閉鎖不全の病態について報告してきた。また、同時にSpd/Spd脊髄被裂例ではその胎生期に、100%キアリII型奇形を伴い、脳室拡大や脳梁形成不全などの大脳奇形を合併することを発見した。そこで、胎生時期とともに変化する中枢神経系奇形について脊髄被裂例の脳に対し、抗Glial fibrillary acidic protein(GFAP)抗体、抗Neurofilament protein(NFP)抗体、抗Vimentin抗体を使用した免疫組織化学的検索およびWestern blot法によるこれらの比較定量を行い、大脳分化異常の存否について正常例と比較検討した。結果、Vimentinは胎生12日にすでに正常例、脊髄被裂例とも脳室表面より、放射状に陽性を示した。胎生18日目になると両者とも消退傾向を示した。GFAPは胎生18日目に第4脳室底に発現を認めた。NFPは胎生16日より脳幹部に発現を認めた。しかし、いずれも両者間であきらかな差異を認めず、免疫組織化学的検索からは脳の分化異常を証明することは困難であった。 Vimentinは胎生12日目に高信号を示し、妊娠日数の経過につれて信号域はやや低下する傾向にあったが、胎生18日目でも正常例、脊髄被裂例ともにVimentinは存在していた。GFAPは胎生16日目に両群に認められ、18日目になると両群とも信号域は上昇した。しかし、両群で明らかな差は認められなかった。胎生19日では、正常例の方が、脊髄被裂例と比較しややGFAPが高信号であったが、統計学的有意差は認められなかった。NFPは胎生16日目より認められたが、両群で明らかな差は見出せなかった。 キアリII型奇形の発生病態には諸説が知られているが未だ決定的なものはない。McLone,NakaharaらはSpd/Spd脊髄被裂例ではその胎生期に100%キアリII型奇形を合併することを発見し、脊髄被裂が一元的な原因でキアリII型奇形が生じるとするunified theoryを提唱した。しかし、同時に合併する大脳奇形の病態は明らかでない。我々は、免疫学的アプローチにより大脳の分化異常を証明しようと試みたが、胎生19日でGFAPが正常例でやや高値を示した以外、両群で差を認めなかった。Spd/Spdは生後まもなく死亡するため、胎生期のみの研究しかおこなえず、この比較的短い期間では大脳の分化異常の証明は困難であるかもしれない。 今後は生後生存可能なキアリII型奇形モデルが作成できるか否か、別の中間系フィラメントを検討する、遺伝子レベルでの検討を行うなどの事が必要であるかもしれない。キアリII型奇形に合併する大脳奇形の病態究明のため脊髄被裂例の脳に対し、抗GFAP抗体、抗NFP抗体、1、抗Vimentin抗体を使用した免疫組織化学的検索およびWestern blot法によるこれらの比較定量を行い、大脳分化異常の存否について正常例と比較検討した。Western blot法にて胎生19日でGFAPが正常例でやや高値を示した以外、正常例、脊髄被裂例両群で差を認めなかった。今後キアリII型奇形の病態究明のため別のアプローチも検討すべきだと思われた。
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