研究概要 |
1.In vitro study:Sarcoma 180浮遊液と薬剤液(0.2mMのピロキシカムとHp-diacetate)を混じ,共振周波数2MHz,2.0Wの強度で30秒間照射し,腫瘍細胞の生存率を算出した.また活性酸素種のスカベンジャーであるL-HistidineとD-Mannitolを添加し同様に超音波照射を行った.その結果,薬剤添加により有意に腫瘍生存率が低下した.またL-Histidineの添加で抗腫瘍作用は抑制されたが,D-Mannitolでは抑制されなかった.以上からピロキシカムは一重項酸素を介し超音波抗腫瘍効果を増強させる,と結論した. 2.In vivo study:調整したSarcoma 180浮遊液(1.5x10^7個)とピロキシカム溶液(0.2,0.1,0.01mM)をエーテル麻酔下でマウスの背部air pouch内へ同時に注入し,蒸留水を入れたガラス管中にpouch部のみ水没させ,共振周波数2MHz,3,6,10Wの強度で120秒間照射した.その結果,濃度10W,0.2mMの群では,照射直後の生存腫瘍細胞数は有意に低値で,照射後1週での残存する腫瘍面積も他群よりも有意に低値で,周囲筋の構造も保たれていた.また,生存率も約60%で他の群より良好であった.しかし抗腫瘍効果は3Wや6Wでは認められなかった.マウスair pouch modelにおいて10W以上の超音波照射下では,ピロキシカムは濃度依存性に超音波抗腫瘍効果を増強させる,と結論した.
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