研究概要 |
頚髄症や脊髄損傷に対して磁気刺激法による運動誘発電位MEP(motor evoked potential)を実施した。経時的記録、および障害の時間的および空間的な回復過程の検討により、脊髄障害の予後評価の可能性も検討した。MRIに関しては、より精緻な診断を目指して、mechanical stress(頚椎の前後屈等)やchemical stress(Gd等)各種の負荷を加えた「負荷MRI」や"phase-contrast MRI"を実施し、MEPとの比較検討も行ったところ新知見が得られた。また、頭部外傷、慢性間節リウマチ、脳性麻痺ではしばしば頚椎・頚髄障害を合併するが、大脳障害や間節障害が前景となり看過されやすい脊髄障害の発見や評価を試みたところ、MEPが補助診断法として有用であることが判明し、新知見が得られた。MEPは磁気刺激装置(Magstim200,Magstim co.,UK)、誘発電位記録装置(Neuropack 8,Nihon Koden,JP)および特殊電気刺激装置(Digitimer co.,UK)等を用いた。MR軸索画像(MR axonography,MRX)に関しては新しく開発中のソフト(GE Horizon、General Electric co.,USA)を健常ボランティアに試用・実施した。MRXは大脳レベルで実用的で、ヒトの脊髄レベルでは現時点で実用的評価が困難であるが、今後のハードおよびソフトの改善により4次元的MRI情報が得られる可能性が示唆された。
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