研究概要 |
同種腱移植の動物実験モデルとして我々が確立したラット膝蓋腱移植モデルで,移植材料の新鮮凍結保存法と凍結乾燥保存法による違い,また,放射線滅菌による移植腱のリモデリングの違いを生化学的,生体力学的に,比較検討した.同種腱移植では,移植後2週で移植腱内のコラーゲン量は減少し,その後移植後4週から12週にかけてコラーゲン新生がおこり,コラーゲン含量が増加した.放射線照射を行った群では,移植腱内のコラーゲンは放射線照射を行わない群より減少した.放射線滅菌により移植腱内のコラーゲンのターンオーバーは促進され,その効果は新鮮凍結した群より凍結乾燥した移植群でより顕著であった.移植後4週の移植腱内にはレシピエントからの細胞侵入が確認された.放射線照射した移植健は,コラーゲン線維間の間隙が非照射移植腱に比べて大きかった.力学的特性は,放射線滅菌を施した移植腱は,移植後その材料特性は脆弱化が,6週以降力学的に強度が増していた. ヒト足関節靭帯再建術に用いた臨床成績では,術後の足関節の安定性,可動域とも良好で,放射線滅菌した移植腱は臨床に用いで良好に機能することが明かとなった.以上の結果より,同種移植健は,放射線照射により力学的強度が術後一時的に低下するが,リモデリングの過程で細胞浸潤を受けて基質合成が行われ,力学的強度が回復し,自家健移植と同等の強度を得ることが明かとなった.術後に過負荷をさけるリハビリテーションプログラムを実施することにより,安全で,有用な同種健の利用が可能であることを示した.
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