研究課題/領域番号 |
11671532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
重松 昭生 産業医科大学, 医学部, 教授 (30037428)
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研究分担者 |
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 助教授 (60128030)
南 浩一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 麻酔薬 / 血管平滑筋細胞 / ケタミン / プロポフォール / [^3H]-thymidine / protein kinase C(PKC) / GF109203X / 細胞 / フェンタネスト / キシロカイン |
研究概要 |
近年、Yグラフト置換術をはじめとした腹部大動脈置換術やA-Cバイパスなどの虚血性心疾患の手術件数が多くなってきている。これらの手術後に血栓による再閉塞や再狭窄が起こることは知られている。現在までの病理学的な検討によりそれらの再閉塞や再狭窄の原因と一つとして動脈平滑筋細胞の増殖が関与していることが知られている。麻酔薬は腹部大動脈置換術(Yグラフト置換術)やA-Cバイパスなどの手術に広く使用されているにもかかわらず、現在まで麻酔薬の動脈平滑筋細胞の増殖に与える影響については良く知られていない。 そこで今回申請者らは、血管平滑筋細胞の機能にどのように麻酔薬が作用するが検討する目的で培養ヒト大動脈平滑筋細胞を用いて、臨床で麻酔や疼痛管理に広く使用されている静脈性麻酔薬ケタミン、麻薬フェンタネスト、最近臨床に使用され始めたプロポフォール及び局所麻酔薬、かつ、不整脈治療薬キシロカインが培養ヒト大動脈平滑筋細胞の増殖にどのように作用するかを[^3H]-thymidineの取り込みおよび細胞数の増加を測定することにより解析した。その結果ケタミン(10-200mM)はASMCへの[^3H]-thymidineの取り込みを濃度依存性に抑制したが、プロポフォール(100mM)、リドカイン(300mM)、フェンタネスト(100nM)は抑制しなかった。ケタミンはASMCの細胞数を[^3H]-thymidineの取り込みへの抑制と同様に減少させた。さらに、ケタミンのASMCの増殖を抑制作用の機序を検討するために培養ヒト大動脈平滑筋細胞を麻酔薬の存在下に培養し、[^3H]-thymidineの取り込み及び細胞数をカウントすることにより増殖に対する作用を調べたが、ケタミンの大動脈平滑筋細胞への[^3H]-thymidineの取り込み抑制効果はprotein kinase C(PKC)の特異的阻害薬GF109203X存在下では見られなかった。これらより、ケタミンは大動脈平滑筋細胞を細胞内燐酸化酵素を介して抑制している可能性が示唆された。さらに、麻酔薬は細胞内燐酸化酵素に何らかの影響を与えて細胞の機能に影響している可能性が示唆された。今後は、麻酔薬に限らず、筋弛緩薬、循環作動薬の細胞内機能への影響を検討し、増殖機能の解析に着手しているところである。
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