研究概要 |
BCGの膀胱癌に対する抗腫瘍効果を解析するために以下の実験を施行した。 1 CD14+細胞からGM-CSF+IL-4にて樹状細胞(FDC)を誘導し、生菌BCG添加後のFDCの表面抗原の発現の変化を観察した。その結果CD40,CD80,CD83,CD86の発現が上昇した。この結果生菌BCGはTNF-αと同様にFDCを成熟させることが明らかになった。 2 ツベルクリン反応陽性の正常人の末梢単核球をIL-2と生菌BCGと共に1週間培養し、その後生菌BCGにて4時間刺激後の各種のサイトカイン(IFN-γ,IL-2,TNF-α)の分泌能をflow-cytometry(FACS analysis)にて解析した。その結果、陽性対象であるPMAの刺激にてはサイトカインの分泌は見られたものの、BCGの刺激にてはサイトカインの分泌は見られなかった。この原因はB-cell lineでの十分なAPCがなかったためとと考えられた。 一方、臨床例において、BCGを尿路上皮腫瘍に対して使用し以下の結果を得た。 1 7例の上部尿路上皮内癌症例においてBCG(Tokyo 172 strain,80mg)の尿路内環流を行い平均観察期間22ヶ月で6例において癌細胞の消失を確認した。 2 42例の膀胱尿路上皮内癌症例においてBCG(Tokyo 172 strain,80mg)の膀胱内注入を行い平均観察期間37.3ヶ月で35例において癌細胞の消失を確認した。
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