研究課題/領域番号 |
11671612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
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研究分担者 |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 絨毛 / マウス単クローン抗体 / 着床 / 胎盤形成 / 浸潤 |
研究概要 |
着床後、胚由来の絨毛細胞は絨毛上皮を構成するVillous trophoblast(VT)と、絨毛の先端部から母体脱落膜へ向かい最終的には子宮筋層にまで浸潤するExtravillous trophoblast(EVT)の2つの経路に分化する。現在確認されているEVTの機能として浸潤能が挙げられるが、その様式は癌細胞浸潤と類似していることが近年指摘されつつあるものの、EVTの浸潤は子宮筋層の1/3までに留まっており、子宮血管内への浸潤も含めその停止機構は未だ解明に至っていない。このEVTの機能とその制御機構の解明は、妊娠初期の着床障害から中期以降の周産期疾患の病態解析に大きく貢献すると考えられる。本研究は、EVTに特異的に発現する分子を同定してその分化経路や分化制御機構を明らかにすると共に、得られた分子の情報を元に新しいEVTの機能を解明することをその目的とした。 EVTを含むヒト絨毛膜細胞をBALB/cマウスに免疫してEVTに特異的に反応する複数の単クローン抗体を獲得した。得られたマウス単クローン抗体のEVTにおける発現様式を免疫組織学的に検討した結果、EVTが母体側に浸潤するに従い異なる分子を発現し、EVTの分化に関連している可能性が示唆された。これらのマウス単クローン抗体の認識抗原を部分アミノ酸配列解析・cDNAパニング法により解析した結果、従来よりEVTにおける発現が報告されている接着分子であるインテグリンα5及びMelanoma cell adhesion molecule(MCAM)がEVTに発現することが確認されたのに加えて、部分アミノ酸配列解析では未知の分子を認識するマウス単クローン抗体(mAb5-23)を獲得することが出来た。mAb5-23の認識抗原に関しては現在蛋白情報を含めて解析中であるが、この未知の認識抗原はその発現がEVTに限局しており、EVTの特異的な機能に関与している可能性が示唆された。更に現在cDNAmicroarray法によりEVTの浸潤能の変化に伴い発現が変動する分子の同定に着手しており、未分化なTrophoblastに限局して発現するExpressed sequence tagの存在が判明し、既に5'-RACEによるcDNAのクローニングを終了した。 以上、本研究によりEVTが母体に浸潤しその浸潤能が停止する過程において複数の分子を発現することが明らかになった。今後得られた分子のEVTにおける機能を解析することによりEVTの浸潤停止機構の解明を行う予定である。
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