研究課題/領域番号 |
11671613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
万代 昌紀 京都大学, 医学研究科, 助手 (80283597)
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研究分担者 |
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 薬剤抵抗性 / アポトーシス / 遺伝子治療 / 卵巣癌 / シスプラチン / bax / アデノウイルス / タキソール / IGF-1 / 制癌制抵抗性 |
研究概要 |
本研究の目標は予後不良の卵巣癌において、その原因である化学療法抵抗性のメカニズムを特にアポトーシスとの関連に注目して解明し、将来の遺伝子治療の分子標的を同定することにある。卵巣癌では進行例が多く、その治療において化学療法は重要である。有効例は多いが薬剤に対する抵抗性が、長期予後不良の大きな要因となっている。そこで本研究では化学療法の中心であるシスプラチン(CDDP)の薬剤効果および薬剤抵抗性とアポトーシスとの関連に注目し、これを分子標的とした遺伝子治療により薬剤抵抗性を克服する可能性について検討を進めた。 卵巣癌細胞株を用いた検討で、CDDP感受性株においては薬剤添加後にアポトーシス促進因子Baxの著明な発現とアポトーシスの誘導が確認され、一方耐性株ではアポトーシスは誘導され難く、この時Baxの発現レベルも低かった。すなわちCDDP抵抗性機序にBaxを含むアポトーシスシグナルの誘導障害が関与することが示唆された。そこでBax高発現組替えアデノウイルスを作製し、卵巣癌細胞へBax遺伝子を導入したところ、耐性卵巣癌において著明なアポトーシスと殺細胞効果を認めた。さらにBax遺伝子導入にCDDP又はタキソールを併用したところ、相加的治療効果を認めた。 一方、CDDP抵抗性には、何らかのアポトーシス阻害因子が関与している可能性がある。本研究では、卵巣癌の発生過程とゴナドトロピンの関係に着目し、まず、ゴナドトロピンのひとつであるhCGが卵巣癌の発生母地と考えられている卵巣表層上皮細胞に与える影響を解析したところ、hCGは卵巣表層上皮細胞の増殖を刺激するだけでなく、そのアポトーシスも阻害することで、腫瘍発生に関与する可能性が示唆された。さらにhCGは一部の卵巣癌細胞においてCDDPによるアポトーシス誘導を阻害し、卵巣癌の薬剤抵抗性に関与する可能性が示唆された。 以上のように薬剤抵抗性とアポトーシスとの関連に注目した研究は、最近、注目されつつあり、本研究も今後、この結果を卵巣癌治療に応用しうるよう発展させていきたい。
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