研究課題/領域番号 |
11671643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
石谷 昭子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40112544)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | HLA-E / HLA-F / HLA-G / cytokine / signal peptide / placenta / trophoblast / NK receptor / decidua |
研究概要 |
1、妊娠維持には母体脱落膜におけるサイトカイン分泌が重要であると考えられていることから、胎盤トロホブラストにおけるHLA-Gの発現が脱落膜中サイトカイン濃度におよぼす影響を調べたところ、HLA-Gの発現によりTh1型サイトカインのIFNγおよびTNFαは低下傾向を示し、Th2型のIL4およびIL10は上昇傾向を示した。すなわち胎盤においてトロホブラスト上に発現しているがHLA-Gの機能の一つは脱落膜サイトカインの制御にあると考えられる。 2、これまで、胎盤トロフォブラスト上にはHLAはclass Iaおよびclass II抗原は発現せず、HLA-Gのみが発現しているとされていたが、我々はこれまでにHLA-Eも発現していることを明らかにしてきた。今回さらに、抗HLA-Fモノクロナル抗体を作製し、これを用いてHLA-Fも発現していることを明らかにした。HLA-Fは各種cell lineにおいては、細胞質内に発現するものはあるが、細胞表面に発現するものは現時点では見いだせない。しかし、トロフォブラストにおいては、母体脱落膜に深く侵入しているextravillous trophoblastのみは免疫組織染色法により細胞表面にも強く発現しているような像がみられた。これは母児の接点においてHLA-Fが何らかの重要な機能を果たしていることを示唆している。 3、HLA-Gおよび-Eの発現と疾患との関係についても検討してきた。これまでpreeclampsiaの病因はHLA-Gの発現低下あるいは消失に関連しているといういくつかの報告がなされているが、我々は正常胎盤においてもHLA-Gの消失している部位はあり、そのトロフォブラストはHLA-Eの発現も見られず、preeclampsiaの場合と同様に常にフイブリンに囲まれた状態にあった。しかも、HE染色でエオジンに染色されなっかた。それらの形態からみて、なんらかの炎症等の結果、トロブラストがHLA-Gのみならず、生合成全般が低下あるいは不能となっていることを示唆していた。すなわち、HLA-Gの発現の消失は、その病因というよりは、結果である可能性が強い。
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