配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
Actin filamentをCD44などの細胞接着因子へ繋ぐERM familyのうち、ezrinが癌細胞の浸潤と接着・転移に関与することを検討してきた。現在は卵巣癌におけるezrinの意義に注目した。最近の報告では、更年期婦人におけるホルモン補充療法が卵巣癌のリスクを増加させるとさる。しかし何故ホルモン補充療法とくにestrogenが卵巣癌のリスクを増加させるか明らかではない。そこでEzrinの発現に関する調節因子としてのestradiolの役割を検討した。SKOV3およびDOV13細胞株を用いて検討をおこなった。SKOV3はestrogen receptor(ER)α>βの株である。一方DOV13はERαくβの株であり、2つの受容体の作用を解析できるものである。Estradiolで処理された細胞をmatrigel貫通アッセイにて検討した結果、ezrinは細胞質から細胞膜へtranslocationした。matrigel貫通アッセイの結果はSKOV3:33±0.8,68±2.6,29±1.2ならびに34±1.7%(mean±SD, control, estradiol, estradiol+raloxifene, estradiol+tamoxifen), DOV13細胞も同様の変化を示し、ezrinの発現とmtrigelの貫通度には強い正の相関が見られた。さらにこの浸潤傾向はtamoxifenならびにraloxifeneにより抑制され、ERの関与が示唆された。次に子宮体癌株Ishikawaよりcis-platinumに耐性なISIW+株をclonal selection法で分離した。Ishikawa, ISIW+は染色体数がそれぞれ68と70(mode)であり、G0/G1=47.1,58.0%,S=35.1,29.7%,G2/M=17.8,12.2%であった。増殖の倍加時間は22.1±2.8,32.3±4.2hrでISIW+で有意に延長していた(p<0.003)。両株を500pg/mlのCDDPで処理し、CB-17/Icr-scid Jclマウスに腹腔内投与したところ、ISIW+のみ死亡した(50%生存期間=33日)。このISIW+株では、MTPIF分泌がIshikawaに比較して約100倍高い。またISIW+ではSteroid and xenobiotic receptor(SXR)の発現が高くこのSXRのmRNAに対するantisense cDNA(AS)を作成し、その増殖、SXR発現ならびにMTPIF分泌に与える影響を検討した。その結果ASは増殖は変化させず、SXR発現を抑制した。またMTPIFの分泌を抑制した。このことからISIW+から分泌されるMITPFはSXRの調節下にあることが示唆された.現在MTPIFの分離精製においては十分な成果が得られていない。したがってbioassayを行っている。
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