研究概要 |
本研究において、我々はラット胎仔感染モデルを用い、胎仔脳におけるCRFおよびiNOSmRNAの発現、およびLipopolysaccaride(LPS)負荷に対する応答様式をin situ hybridization法を用いて検討した。妊娠20日において胎仔を帝王切開にて娩出させ,直ちに37℃,湿度100%のチャンバー内においた.LPS群(n=12)にはLPS(400μg/100g体重)を,対照群(n=12)には生食を投与し,さらに3時間保育した.帝王切開直後,および保育3時間後に胎仔を断頭し,胎仔脳をグルタールアルデヒドにて固定し凍結保存した脳の冠状断凍結切片作製後,CRFおよびiNOSについて^<35>S-UTP標識antisense RNA Probeを作製し,in site hybridization法を施行,その発現をOptical Densityを用い半定量した.さらに両群において血中コルチコステロンをRIA法にて測定した.その結果、CRFは視床下部室傍核にのみ発現し、LPSの刺激によりその発現は増強した。また、血中コルチコステロン分泌も増加した。一方、iNOSmRNAの発現は対照群では認められなかったが、LPS負荷により、脳弓下器官と脈絡叢で認められた。しかし室傍核では発現が認められなかった。以上のことより、胎齢20日のラット胎仔では、LPS感染ストレスに対して視床下部-下垂体-副腎系はすでに作働しているが、室傍核のiNOSmRNAがまだ発現していないことから、NOはLPS負荷に対するCRF分泌刺激における主たるストレス伝達経路ではないことが示唆された。
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