研究概要 |
1.内喉頭筋内神経細胞におけるNADPHdとVIP, HO-2の共存 イヌの輪状甲状筋と後輪状披裂筋において,NADPHd組織化学法と,抗VIP抗体または抗HO-2抗体をそれぞれ用いた免疫組織化学染色の二重染色を行った.内喉頭筋内神経節において,NADPHd陽性神経細胞の一部はVIP免疫組織化学染色でも陽性で,nNOSとVIPが共存する細胞がみられ.VIP陽性,NADPHd陰性の神経細胞体も認められた.NADPHd組織化学染色とHO-2免疫組織化学染色の二重染色でともに陽性となる神経細胞はみられなかった.内喉頭筋においてVIPとNOの共存が一部の細胞にのみ認められたことから,これらの細胞が単一の機能のものでなく,異なる性質の神経細胞が混在していることがわかる.また,NO, VIP, COいずれも副交感神経系にも広く存在が知られている伝達物質であるが,副交感神経節と考えられている喉頭内神経節ではNADPHdとCOの共存する細胞が存在するため,両者の共存がなかった内喉頭筋内神経細胞は喉頭内神経節の神経細胞と異なる性質をもつと考えられる. 2.喉頭内神経節細胞における神経伝達物質の同定 免疫組織化学染色法を用いてイヌ、ラット喉頭内神経節細胞への神経ペプチドやHO-2の局在を検索した.喉頭内神経節内にHO-2を持つ神経細胞の存在を確認した。イヌ喉頭内神経節ではHO-2とNADPHdは一部の神経細胞で共存していた.'喉頭内神経節内にHO-2を持つ神経細胞が観察された点も消化管の筋間神経叢の副交感神経節と類似する.イヌ喉頭内神経節ではHO-2とnNOSは一部の神経細胞で共存していた.イヌ食道筋間神経叢で観察したNADPHd陽性細胞中のHO-2陽性率は70-80%であり,HO-2陽性細胞中のNADpHd陽性率は頚部・胸部で35%,・横隔膜下で53%であった.したがって,喉頭内神経節細胞と食道筋間神経叢の細胞にはガス状伝達物質の共存率という点では大きな隔たりはないと考えられる.
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