研究概要 |
1938年山川が報告したヒト内リンパ水腫例の内リンベ嚢を詳細に検討すると炎症細胞の浸潤と高度な繊維化を認める。このことは、内リンパ水腫の成因に炎症が関与している可能性を示唆していると考えられる。また以前より内リンパ嚢にマクロファージが存在することは周知の事実である。そこで内リンパ水腫に関するマクロファージの役割について検討した。 1.モルモットの頸動脈よりアナフィラトキシンを注入実験:内リンパ嚢内マクロファージは77±40個(n=13),コントロールは22±13個(n=12)で増加していた。CH3/HeJでは平均2.6個(n=5),CH/Heでは4.6個であった。内耳形態的変化ではアナフィラトキシン注入群ではすべての個体で血管条の萎縮を認めたが、マウスの両者で有意な形態学的変化はなかった。 2.蝸電図測定:マウスの蝸電図の測定を容易にした。上記のようにマクロファージの数の違うCH3/HeJおよびCH/Heにおいて有意な違いはなかった。 3.ラット内リンパ嚢マクロファージの培養中IL-1β,TNF-α,IL-4,IL-6の測定(PCR法):上記サイトカインを測定することはできなかった。内リンパ水腫の成因に関して炎症特にマクロファージについて実験を行ったが、マクロファージの量的、質的問題か不明であるが、水腫とマクロファージの関係を明確にすることはできなかった。
|