研究概要 |
滑動性眼球運動や輻輳眼球運動のような遅い眼球運動の研究はサッカードに比べて乏しい。本研究では、これらの遅い眼球運動の性質を可塑的機構を視点の中心に据えて生理心理学的実験・脳イメージシグ研究を行った。健常ボランティア被験者に大型のスクリーン、あるいはソニー社製立体視ヘッドマウントディスプレィ(HMD)を用いて立体視覚刺激を提示した。眼球運動は赤外線リンバストラッカーを用いて記録した。1)duouble step paradigmを用いた実験により輻輳運動・滑活動性眼球運動に共通の可塑的変化(運動学習)を起こした。2)中心視野での立体視視標により引き起こした輻輳運動に対する背景の奥行き運動の影響を空間的・時間的に分析した。これらの実験により、輻輳運動のダイナミックな性質を明らかにするとともに、滑動性眼球運動および輻輳眼球運動に共通の可塑的変化(運動学習)がみられることを示した。これらの研究結果の多くは出版したか印刷中である(Takagiら,Invest.Ophthalm.Vis.Sci.,2001;Takagiら,Vis.Res.,2001;Takagiら,Invest.Ophthalm.Vis.Sci,2001。3)PET法で輻輳運動を、f MRIでサツカードと滑動性眼球運動について、賦活領域の検索を行った(Takagiら,NeuroImage,1999)。これらの結果から、適応的変化が視覚処理系から運動系への信号の強さの変化ではなく、運動系での運動信号生成の過程での変化で起こることが示唆された。
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