研究課題/領域番号 |
11671741
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
熊谷 直樹 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (20234510)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 角膜実質細胞 / エオタキシン / TARC / TNF-α / IL-4 / IL-13 / アレルギー性結膜炎 / 角膜上皮細胞 |
研究概要 |
従来、アレルギーなどの炎症性疾患の病態形成の解明に関して主に免疫細胞の活性化機構の研究が行われてきた。角結膜の上皮細胞や実質細胞などの組織の構成細胞は免疫反応の結果生じた好酸球由来の細胞傷害性蛋白質などにより攻撃を受けるが、構成細胞自体は炎症反応の病態には関与しないと考えられていた。しかしながら、近年の細胞生物学の進歩により、角膜の構成細胞細胞自体がケモカイン、接着分子などの物質の発現を介して、炎症細胞の活性化を制御し、アレルギー性の炎症反応の病態形成に積極的に関与していることが明らかとなってきた。 角膜を構成する細胞のアレルギー性の炎症反応への関与をより明らかにするために、今回我々は好酸球に作用するケモカインであるエオタキシンとTh2細胞に作用するケモカインであるThymus-and activation-regulated chemokine(TARC)に注目し、角膜上皮細胞、角膜実質細胞のこれらのケモカイン産生能について検討を行った。 今回の研究により、角膜実質細胞はTNF-α、IL-4、IL-13の刺激によりエオタキシンの産生を亢進させる事が明らかとなった。さらに、角膜実質細胞はTNF-αとIL-4あるいはIL-13で同時に刺激することによりそのエオタキシン産生能が相乗的に亢進することが解った。また、角膜実質細胞はTNF-αあるいはIL-4の単独の刺激では測定できる量のTARCを産生しなかったが、これらのサイトカインで同時に刺激された場合のみTARCを産生した。角膜上皮細胞にはこのようなエオタキシン、TARCの産生能は認められなかった。 これらの結果により、角結膜のアレルギー性炎症反応においては結膜における炎症反応のみが病態を決定しているわけではなく、角膜の細胞の活性化、特に角膜実質細胞の活性化とエオタキシン、TARCなどのケモカインの産生が免疫系に作用していることがわかった。角膜実質細胞がこれらのケモカインを介して好酸球やTh2細胞などの免疫系の細胞の眼局所への浸潤を促進し、炎症の重症化や角膜病変の発生に促進的な役割を果たしている可能性を示した。
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