研究概要 |
1.原田病の炎症担当細胞におけるアポトーシスの解析 原田病新鮮例の髄液細胞はFas・FasLigandともに高率に発現しており消炎にむけて炎症細胞のアポトーシスによる消失が準備されていると考えられる.一方末梢血リンパ球はOKT-3刺激するとFas・Fas Ligandは対照に比べ有意に高率に発現した.しかし,ここに抗Fas抗体を添加してアポトーシスを誘導すると,原田病では早期アポトーシスマーカーであるannexinVの発現が対照に比べ低下していた.この結果から,原田病新鮮例の末梢血リンパ球でアポトーシス抑制の存在が示唆された.さらに細胞内のアポトーシスシグナルの変化をみるためアポトーシス関連蛋白のmRNA発現をRT-PCRにて検討した.そのうち抑制蛋白であるbcl-2のmRNA発現は100%に見られたが,誘導蛋白であるcaspase8のmRNAの発現が正常対照に比べ低下していた.ステロイド投与3週後の治癒過程にある患者ではcaspase8のmRNAの発現率はやや増加してくるが発現の見られない例もあり,この中に治療に対する反応不良例や遷延例がみられた.この結果からcaspase8の発現低下が原田病の局所に浸潤してしる炎症細胞の細胞寿命を延長させ炎症を遷延しているものと考えられた. 2.原田病に対するステロイド治療の検討 本病の治療にはステロイドのパルス療法が有用であるが,重篤な副作用を軽減するためにステロイドの投与量を減らし,メチルプレドニゾロン500mgを3日間点滴するステロイドセミパルス療法を導入して治療を試みた。従来のメチルプレドニゾロン1000mgを投与した例との明らかな差はみられず十分な効果が得られている。さらに症例を増やし詳細に検討する予定である。
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