配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
(1)HSP-65で免疫されたラットにおいては,HSP-65に対するものだけでなく,複数種類の結核菌HSP中のペプチドに対する抗体も形成されており,それとhomologousなヒトHSPのペプチドに対する抗体も誘導されていた。IgGに比べ,発症した動物と発症しなかった動物の比較ではIgA抗体における差の方がより大きく,IgA抗体の関与が重要であった。(2)HSP-65,-60による免疫に先立って抗接着分子モノクローナル抗体を投与し,発症が抑制されるかどうかを観察し,抑制確認後,再びHSP-65,-60を投与して発症が抑制されうるか観察した。この状態におけるリンパ節や脾臓の細胞も表面マーカーをフローサイトメトリーによって解析したところ,寛容の導入が行われたことが見出された。このようなラットにHSPを投与しても発症は得られなかった。(3)HSP-60免疫ラットのリンパ細胞をリンパ節や脾臓リンパ節や脾臓から採取し,経時的な変化を観察した。免疫直後はTh2が優位を占めたが,ぶどう膜炎が発症する3日前の免疫7日後の付近で,Th1がTh2を上回るようになり,その後発症20日まではTh1が優位を示し,発症24日付近で再びTh1-Th2が均衡に達し,その後Th2が優位を示す発症前の状態に戻るという経過が見られた。(4)HSP-60促進性物質であるテプレノンの熱ショック蛋白実験的ぶどう膜炎に対する,治療的効果の作用機序の解析を行い,熱ショック蛋白によるラットぶどう膜炎では,発症後の自然治癒に向かう過程のいわゆるpost-recovery suppressor T cellという時期のリンパ球に対し,テプレノンの抑制作用が強く見られることがかかった。このことはテプレノンのぶどう膜炎,特にベーチェット病の治療を考える上で重要な知見と考えられた。 以上の研究成果から,HSPによる実験的ぶどう膜炎の免疫学的特徴やその発症,治癒に関する機序は,徐々に明らかになってきている。今後はHSP-60促進性物質のテプレノンの治療効果を動物実験レベルで進め,ヒトの重症ぶどう膜炎への治療応用が可能かどうか,他の実験的ぶどう膜炎モデルでの研究も進める予定である。
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