研究概要 |
真性組織カリクレインmK1はマウス顎下腺の顆粒性導管(GCT)細胞で産生される生理活性物質のひとつである.研究者等は極めて特異性の高い抗mK1抗体しその局在を検討すると共に,mK1 mRNAを検出するためにdigoxigeninでラベルしたプローブを作製し、次の結果を得た。 1)真性組織カリクレインmK1は雄(成体)ともに一部のGCT細胞でのみ発現し、陽性細胞数は雄(全GCT細胞の1割程度)より雌(およそ半数)のほうが著しく多く、性的二型を示した。 2)去勢または,下垂体を摘出した雄にandrogen,甲状腺ホルモン,副腎皮質ホルモンを投与し,その影響を検討した.その結果,雌GCTにおけるmK1のモザイクパターンは甲状腺ホルモン単独で発現できた.一方,雄のモザイクパターンのはandrogen単独では発現できず,甲状腺ホルモンを同時に投与することが必要であることがわかった.副腎皮質ホルモンは単独では作用が弱く二つのホルモンの補助として作用していることが明らかとなった. 3)真性組織カリクレイン遺伝子mK1k-1の局在を検討するためにprimer-up(ACC ATC ACA GAT CAG TGGG)、および-down(CCT CCT GAA TGA GCA CAC CC)をデザインした。マウス顎下腺、舌下腺、腎臓、肝臓から全mRNAを調製した後、逆転写酵素によりcDNAを得た。これを鋳型としてprimerに相当するDNAのPCR産物をノーザンブロットで検討した結果、顎下腺、舌下腺、腎臓でmK1遺伝子に相当する一本のbandを確認した。 4)現在、このプローブを用いてin situ hybridization、およびin situ RT-PCRを検討しているが,まだ満足できる結果を得ていない.
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