研究概要 |
唾液腺開口分泌におけるSNARE蛋白質の役割を解明するため、VAMP-2,SNAP-23,Syntaxin-4など各種SNARE蛋白質とGreen Fluorescent Proteinのキメラ蛋白質をCOS-7細胞、ヒト耳下腺由来株細胞(HSY)に発現し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。その結果、それらの細胞内局在部位について予想外の結果が得られ、細胞膜への輸送機構が問題となった。また、C末端にFLAGエピトープを付加したSNARE蛋白質を他のSNARE蛋白質と共発現し、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降法によりSNARE蛋白質間の相互作用を解析した。平成12年度に得られた結果を示す。 (1)SNAP-23は単独では核を除く細胞質に均一に発現するがSyntaxin-4と共発現するとSyntaxin-4の局在部位に移行し、両蛋白質の結合も確認された。 (2)Syntaxin-4は未同定の細胞内小胞に局在し、VAMP-2,SNAP-23,Munc18cの共発現でも細胞膜への移行は見られなかった。Syntaxin-4の細胞膜への輸送には未知の因子が関与している可能性が示唆された。 (3)VAMP-2はゴルジ野に発現し、Syntaxin-4とは強く結合したがSNAP-23との結合は弱かった。 (4)唾液腺細胞でのSNARE蛋白質の存在部位を知る目的でprimaryラット耳下腺腺房細胞へのGFP-SNAREの発現実験を試みたが、発現効率が著しく低く、十分な解析を加えることができなかった。今後、アデノウイルスベクターを用いた効率的な発現系を確立し、さらに解析を加える考えである。
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