研究概要 |
摂食・嚥下運動口腔期の動態を解析するために,既存の超音波装置SSD650CL(ALOKA)あるいはLogiq700(GE-Yokogawa)を用いて,舌背の正中矢状断面および冠状断面,咽頭側壁の軸位断面の超音波Bモード画像を採取した. 超音波検査と同時に,ビデオX線透視法(videofluorography,以下VFと略す)を施行した.これには既存のX線透視装置Finescope300,DCW-30A(東芝メデイカル)および今回購入の移動型X線ビデオ透視用椅子(ともみ工房)を用いた. ビデオ画像ミキサーVideoCanvas(Roland社製)を用いて,超音波画像,VF画像および被検者の嚥下時の音と検査者の音声を同時にひとつの画像データとして記録した.デジタルビデオレコーダDSR-20,DSR-V10,GV-D900(SONY製)により記録されたデータは,Premiere(Adobe社)を用いてmovie dataとして,今回購入の画像解析用コンピュータPower Mac G4(Apple社製)に取り込んだ.NIH imageを用いて,超音波画像における舌運動の時間計測および形態計測を行った.この結果をVF解析と比較し,舌動態を描出するのに最適な超音波検査を再検討した. 舌の冠状断,矢状断のいずれのスキャン方向でも舌の運動は捉えることができたが,重積像であるVF像とは異なり,超音波像はある部分の断面のみが描出される.したがって,病態をとらえるには複数の画像が必要になることが示唆された.咽頭側壁やその他の断面についてはさらに詳細な画像解析が求められる. 今回の研究によって,超音波画像を用いて嚥下運動を解析するシステムを構築した.嚥下評価は訓練や病状の変化に伴って頻繁に行うべきものであり,被曝量や患者の苦痛を考えると,経時的な変化を追う際には,超音波検査法はVFのある部分を置換できうる.
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