研究概要 |
正常および顎関節症を有する男女被験者(各群5名,計20名)に対し,体重4分割連続値と咬合接触状態および習慣性咀嚼側の関連についての検討を行った. 体重4分割連続値の変動は正常群よりもTMD群の方が大きかった.体重4分割連続値の平均値のバランスを前後的に比較すると,男性正常群,女性正常群,男性TMD群では前方荷重が大きい一方,女性TMD群では後方荷重が大きかった.左右的にバランスを比較すると,前後的なバランスほどの差異は認められないものの,正常群では右方荷重が大きく,TMD群では左方荷重が大きい傾向がみられた. 体重4分割連続値と習慣性咀嚼側の間に一致傾向は認められないものの,反対側の荷重が大きくなる症例よりも同側の荷重が大きくなる症例の方がやや多かった.しかし,咬合接触圧4分割値は習慣性咀嚼側と同側の荷重が大きい症例に比較して反対側の荷重が大きい症例の方が多く,その傾向は正常群よりもTMD群でやや強く認められた.また,TMD群においては体重4分割連続値と咬合接触圧4分割値の左右的荷重が同側で大きくなる症例よりも反対側で大きくなる症例の方が多かった. 次に個性正常咬合の健康な男性被験者7名に対し,実験的スプリントを用い,咬合接触状態を変化させ,その状態が体重バランスに如何なる影響を与えているのかを八分割バランサーにより検討した. 前後的バランスに関しては咬頭嵌合位に比較して,両側小臼歯部のみ,あるいは両側大臼歯部のみにスプリントを装着した場合,前方の荷重が大きくなる症例が多かった.左右的バランスに関してはスプリントの厚径の違い(2mmと3mm)によって傾向が異なった.測定値の変動に関しては,両側小臼歯部にスプリントを装着した場合に変動が小さく,一方,小臼歯部に片側性にスプリントを装着した場合に変動が大きい傾向が認められた.
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