研究概要 |
申請者らは,この補修修復法への光硬化型グラスアイオノマーセメント(以後,光セメント)応用に関して一連の検討のうち,光セメントを用いた修復法の臨床応用の拡大に関する検討として,被着歯面を歯科鋳造用合金として,メタルプライマーおよび光重合型レジンに付属するボンディング材の使用が,光セメントの接着性におよぼす影響について検討し,その臨床使用術式を確立するものである。 実験に供試した補修周修復の対象としては,同種セメントあるいはコンポジットレジン,さらにメタルとしては,20K金合金,12%金銀パラジウム合金,銀合金およびCo-Cr合金の4種類を使用する。表面処理材としては,市販のメタルプライマー4製品と光重合レジンに付属するボンディング材4製品である。 接着試片の製作は,通報にしたがって鋳造された金属を被着面とし,これにボンディング処理あるいはメタルプライマー処理などを行った後,この面に設置したテフロン型にセメントペーストを製造者指示に従って填塞,これを接着試片とした。これらの接着試片を,試片製作後37℃精製水に浸漬保管し,インストロン万能試験機(Type4042,Instron)を用いてその剪断接着強さを測定した。あわせて,剪断試験後の試片の破断面を走査型電子顕微鏡(JSM-5400,日本電子)を用いて写真撮影を行った。 その結果,いずれの補修対照であっても,ボンディング材の使用はその接着強さの向上に有効であり,さらに,シラン処理材あるいはメタルプライマーの使用が補修修復物の接着性の向上には有効な臨床技法であることが示された。したがって,今後予想される補修修復には,この光セメントが適切な前処理材の使用することでその有効性を発揮することが示唆された。
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