研究概要 |
短期間で脱離しない接着ブリッジ用合金の作製を目的とし、フレームに剛性の大きい合金を用い、咬合面に金板を圧接後レーザーを照射することにより表層のみを金合金化することを考えた。 母合金に45%Ag-35Pd-20Cu合金とコバルト・クロム合金とした場合、レーザーにより金合金化された表層の硬さは母合金の1/2〜1/3にもなり、表層のみが軟らかい二相構造の合金となった。また耐変色性試験の結果、両表層金合金とも鋳造用金銀パラジウム合金の耐変色性試験に適合するほど向上した。 表層金合金の曲げ試験の結果、1歯欠損のブリッジの形態で、スマロイチタンを母合金とし、鋳造体の厚さが2.0mm以上になる条件で、厚さ100μmの金板を圧接後レーザー照射して作製した合金は、強くかつしなやかな相反する機械的性質を有し、接着ブリッジに適していることが分かった。 電気化学的挙動を測定した結果、45%Ag-35Pd-20Cu合金を母合金とした表層金合金の耐食性を向上させるには、厚さ60μm以上の金板を圧接する必要がある。厚さ30,60,90μmの金板を用いた表層金合金の金の含有率は、28,36,46%と金板の厚さが増加するにしたがい金の含有率も増大した。スマロイチタンを母合金とした場合、表層金合金化することにより不動態膜の形成ができず、耐食性の機構が変わり母合金よりも耐食性が低下した。厚さ30,60,90μmの金板を用いた表層金合金の金の含有率は55.7,27.4,43.7%となり、金合金化が不均一で難しいことも分かった。
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