研究概要 |
本研究は,咬合力と咬筋の筋活動量と筋幅および筋横断面積の同時記録を行い,この3者間の相関性について検討したものである.その結果を以下に示す. 【研究方法】被検者は,男性15名,女性15名の健常有歯顎者(平均年齢24±2.6歳)とした.測定は,最大咬みしめ時における咬合力,咬筋の筋活動量と筋幅および筋横断面積,安静時における咬筋の筋幅および筋横断面積の各項目について行った.分析は,咬合力,筋横断面積および筋活動量のそれぞれの相関性および咬合力を目的変数とした重回帰分析を行い関連性の強さについて検討した, 【結果】1.咬合力と咬筋の筋幅および筋横断面積との相関性 咬合力と安静時の筋幅および筋横断面積との相関係数は0.62(p値:0.0002)および0.54(p値:0.0016)であった.また,活動時の相関係数はそれぞれ0.54(p値:0.0019)および0.52(p値:0.0027)であった. 2.咬合力と咬筋の筋活動量との相関性 咬合力と咬筋の筋活動量との相関係数は,0.11(p値:0.59)であった. 3.咬合力と咬筋の筋活動量,筋幅および筋横断面積の関連性の強さ 咬合力を目的変数として,活動時の筋活動量と筋横断面積を分析したところ,標準化偏回帰係数はそれぞれ-0.03および0.53であった.また,安静時のそれを説明変数としたところ,回帰係数はそれぞれ-0.05および0.52であった. 【まとめ】咬合力と咬筋の筋活動量および筋横断面積の相関性について検討したところ,筋活動量は他の2者との相関性が強くなく,筋横断面積は安静時の方が活動時よりも咬合力との相関性が強かった.したがって,咬筋機能の評価を行う際には,簡便性を加味して考えると,咬合力と安静時の咬筋筋幅を把握すればよいものと思われる.
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