研究概要 |
鋳造可能な貴金属系磁性合金を開発するために、二元系状態図から72wt%Au-Co,75wt%Au-Fe,40wt%Pd-Coの貴金属系組成からなる合金を作製した。作製された合金は3種類共ガス-酸素炎で溶解可能な合金であったが、特にPd-Co系合金は鋳造組織が均一固溶状態を示し、吸引力も182.5gfを示しどの系よりも良好であった。また本系のCoの溶出量は12.7μg/cm^2で、Au-CoおよびAu-Fe合金と比較して最も少なく、鋳造可能な磁性合金として有望であった。更に6種の多元系貴金属系合金を試作して、融点、機械的性質、吸引力および鋳造組織を検討した。試作合金のなかで、48wt%Pd-32wt%Co-14wt%Ag-3wt%Au-2wt%Zn-1wt%Inからなる合金は、固相線温度:1,148℃、液相線温度:1,192℃、硬さ:197Hv、引張強さ:318Mpa、伸び:14%、吸引力415.0gfを持ち、鋳造組織も比較的均一で鋳造可能な磁性貴金属合金組成であった.また,Au-Co、Au-Fe、Pd-Coの3種類の二元系合金を調製し、鋳造組織と吸引力、構成元素の溶出などに関して検討すると共に,鋳造性、耐食性、吸引力の向上を目的にZn、Sn、Inなどの微量添加元素を含む多元系合金についても組成的な検討を行った。更に試作磁性合金と市販金銀パラジウム合金や金合金TypeIIIの鋳肌面状態から見た鋳造性とその特性は,都市ガス-ブローパイプ炎や高周波誘導炉で鋳造したものは鋳肌面も良好であり,硬さと弾性係数も同傾向の測定値を示したが,炭素アーク炉の溶解熱源で作製された鋳肌面は荒く,硬さと弾性係数も低下した.
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