研究概要 |
1.in vitroにおける口腔扁平上皮癌細胞株のMMP産生および浸潤能についての解析 1)当科において樹立されたNOL-1,NOL2-2,FZK、細胞開発銀行より供与されたHSC-2,3,4,HO-1-u-1,HO-1-N-1,KBについて培養上清中へのMMP産生を検定した。いづれの細胞においてもMMP-2もしくはMMP-9の産生が確認された. 2)上記細胞のうち活性型MMP-2およびMMP-9をともに良く発現しているHSC-3を用いてラフトカルチャーinvasion assayによりin vitroにおけるMMP阻害薬(MMI-166)の腫瘍浸潤抑制効果を検討した。 投与群において濃度依存性に浸潤が抑制された。MMP阻害によりin vitroの腫瘍浸潤が抑制されることが確認された。 2.ヌードマウス同所移植モデルを用いたMMP阻害剤の腫瘍浸潤増殖抑制効果の検討. 1)上記の結果からMMP産生と浸潤能の因果関係が明らかと思われるHSC-3を用いてを口腔扁平上皮癌同所移植モデルを作製した. 培養細胞浮遊液をヌードマウスの舌に注入したところ,95%以上の確率で腫瘍の形成を認め,高分化型の扁平上皮癌の組織像を示した。さらに腫瘍辺縁における浸潤像,血管内浸潤など局所浸潤を示す組織像を認め,悪性腫瘍の局所浸潤モデルとして適当であると考えられた。 2)上記の同所移植モデルにMMI-166を投与し,浸潤増殖抑制効果を検討した。 腫瘍体積は投与群で非投与群に比べ約60%の腫瘍増殖抑制を認めた. 組織学的には投与群において腫瘍辺縁における浸潤形態,腫瘍の血管内浸潤が抑制された. 以上の結果より口腔癌の局所浸潤および増殖においてMMPが関与していることが示唆された.さらに、MMP阻害により浸潤増殖抑制効果が得られることが明らかとなり、癌細胞の口腔局所における浸潤増殖に対してMMP阻害薬が有用であることが示唆された。
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