研究概要 |
インプラント埋入後の初期固定におよぼす低出力レーザーの影響を検討する事を目的に実験を行った.インプラント体は(Ti)および同寸法でHAコーティング処理したもの(HA)をそれぞれウサギ顎骨内に埋入した.埋入直後より出力12.3mWのHe-Neレーザーを1日10分間づつ合計4日間連日照射した.埋入後2,3,4週後のインプラント体周囲骨組織について骨形態計測学的手法により検討をおこない以下の結果を得た. 1,インプラント埋入部周囲の皮質骨内膜部および皮質骨内の骨単位(osteon)の類骨層石灰化速度は非照射群が3.93±0.73μmに対し,照射群は4.41±0.58μmと1.16倍の高値を呈し,有意に増加(P<0.05)していた.また,類骨層石灰化速度の推移では非照射群の2週で5.14.±1.19μm,3週で3.82±0.99μm,4週で3.48±0.32μmと経時的な平均値の低下が認められるが,レーザー照射群では2週で4.55±0.96μm,3週で4.46±0.56μm,4週で4.23±0.86μmと低下が少なく,埋入4週例では両者間に有意の差(P<0.01)がみられた. 2,インプラント体欠損部における骨形成量はTiとHAとの間の差はみられなかった.しかしレーザ-の照射により,いずれの週においても,また,Ti, HAともに照射群が高値を示した.特にTiの4週,HAの2週で有意の増加を認めた(P<0.05). 骨接触率ではHAは埋入直後早期から高い値を呈し,照射による影響はみられなかった.しかしTiはその2週目で非照射群に対し,2.54倍と有意の増加を認めた(P<0.01). 3,今回の照射条件下においてHe-Neレーザーの照射は類骨層石灰化速度の上昇,新生骨形成量の増加,さらに.Tiで埋入後早期の骨接触率の増加がみられたことからインプラントの初期固定に対し有利にはたらくと考えられる.
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